2012年01月22日

ainol NOVO7 Basicを入手

オークションで新しい中華Padを入手した。ainol NOVO7 Basicという製品。

ainol(艾诺电子有限公司)というのは、2004年創業のMP3/MP4プレーヤーを主力製品として製造していた、中国では比較的名の通ったメーカーらしい。こちらのニュースによると、このNOVO7はAndroid 4.0(Ice Cream Sandwich)を搭載した世界初のタブレットだそうだ。ainol社のAndroidタブレットは去年の夏頃から日本で販売されるようになった。最初に日本に出まわったNOVO8というAndroidタブレットが出来が良くて、中華Padマニアの間でかなり評判になった。今回入手したNOVO7は去年の秋頃から日本で販売されるようになったまだ新しい機種。他の多くのAndroidタブレットがARMコアのCPUを搭載しいるのに対して、このNOVO7はMIPSコアのCPUを搭載している。これがこの機種の一番の特徴と言えるだろう。CPUはIngenic XBurst JZ4770というSoCらしい。
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確かに、このNOVO7の印象も造りがしっかりしていて精度が高そう。MiniPadみたいなノーブランドの中華Padとは大違いだ。そのくせ軽くて高性能ときている。実売価格もAndroidタブレット製品としてはかなり安い。中国国内では、ainolの製品は一般の電器店などでも販売されているらしい。ちゃんとしたメーカーの製品だから出来が良いのだろうが、それにしても「中国製品侮りがたし」という感じだ。製品パッケージも凝っていて、なかなか洒落ている。台湾や韓国のメーカー製品に対抗できる程の製品に仕上がっていると言っても過言ではない気がする。

ちなみに、このNOVO7は以下のようにいくつもの種類が存在するらしい。

 NOVO7 Basic 800x480, XBurst JZ4770 1GHz(カメラ/HDMI出力あり)
 NOVO7 Paladin 800x480, XBurst JZ4770 1GHz(カメラ/HDMI出力なし)
 NOVO7 Advanced 800x480, Allwinner A10 (Cortex-A8) 1GHz
 NOVO7 Elf 1024x600, Allwinner A10 (Cortex-A8) 1.2GHz
 NOVO7 Aurora 1024x600 IPS, Allwinner A10 (Cortex-A8) 1.2GHz

前記事で紹介した入手済みのMiniPadと同様に、このNOVO7も実用機としてではなく開発ターゲット機として使うつもりでいる。CPUの供給元であるIngenic SemiconductorのサイトからデータシートやLinuxカーネル・ソースを入手可能で、Android用Linuxカーネル・ソースを置いているサイトも存在するらしいので、カスタムファームウェアやAndroid NDK用ソフトを開発するための条件は整っている。それに、何と言ってもCPUがMIPSコアである点に大きな魅力を感じる。人と違った事に取り組むという点では、MIPS用Androidは挑戦しがいのある分野だ。これに取り組んでいるエンジニアはまだまだ少ない。販売されたばかりで評価も固まっていないこの機種を入手したのは、MIPS用Androidの開発に挑戦してみたいと思ったからだ。このNOVO7用のカスタムカーネルやAndroid NDKソフトを作れたら、きっと大きな達成感が得られるだろう(ググってみると、すでにこの機種用のカスタムファームウェアの開発をやっている人がいるみたい)。

さて、これからARMとMIPSの両方のAndroidビルド開発環境を構築していかないと。
posted by Yasuo Tomita at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 組み込み−Android

2012年01月15日

MiniPadを入手した

オークションで、MiniPad(別名Herotab MID816)いうタブレットを入手した。所謂中華Padと呼ばれている奴だ。

秋葉原には中華Padの専門ショップもあり、中国製品を多く扱っている通販サイトなどでも売られている。Amazon.co.jpや楽天市場でも売られていて、Yahoo!オークションにもたくさんの種類の中華Padが出品されている。もはや中華Padは一つの商品ジャンルになっていると言っても良いくらいだ(同人コミックみたいな、オタク向けのマイナーな商品ジャンルだけど)。

今回入手したMiniPadという製品は過去に販売された中華Padの中では人気が高かった機種の一つ。ググってみると、このMiniPadには色々なバリエーションがあるらしい。本体の筐体の色やハードウェアキーの形状が違う物が存在するらしい。また、タッチパネルが感圧式から静電式に変更された機種もあり、そちらはMiniPad-Sという製品名で売られている。今回私が入手したのは感圧式の方だ。人気が高かった所為で、この機種は発売当時2万円強、静電式が出てからも1.5万円強で売れていた。Androidの開発用ターゲットとして中華Padを一台買おうと一年位前からずっと物色していたんだけど、どの機種にすべきか迷ってなかなか決められないでいた。最近になってメーカー製の安価なAndroidタブレットが市場に出まわるようになり、その影響を受けて中華Padの値段がかなり下がってきた。いまが買い時かもしれないと思っていたところに、購入候補の一つだったこの製品が安価な値段で出品されていたので思い切って落札してみた。

数ある中華Padの中からこの機種を選択した最大の理由は、Samsung S5PV210(Coretex-A8コア)というCPUを搭載していて、カスタムファームウェアの開発など関する情報が多く存在するからだ。人気が高い中華Pad特有の現象だけど、その中でもこのMiniPadはかなり情報量が多い。Samsung S5PV210というCPUはいくつかのメーカー製タブレットにも採用されていて、データシートが入手できるようだ。また、Android用Linuxカーネル・ソースを置いているサイトもあるらしい。

ちなみに、これが私にとって初めてのAndroidタブレットになる。

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製品に付属している簡易マニュアルには、この機種のスペックは次のように記載されている

 OS:Google Android 2.3
 CPU:Samsung S5PV210(Coretex-A8)1.2GHz
 RAM:512MB
 ストレージ:4GB(Flash ROM)
 液晶:8 inch 800*600(感圧式タッチパネル)
 無線LAN:WiFi Wireless LAN 802.11 b/g/n
 カメラ:200M Pixels
 バッテリ:Lithim-Polymer 3800mAh
 サイズ:208mm(L) * 158mm(W) * 13.5mm(H)

巷の情報では、MiniPadのバッテリー容量は4800mAhらしいが、これが3800mAhと異なっている点が気になる。まぁ、中華Padではこういう細かいことを気にしたらいけないんだろう。

上の写真のとおり、製品パッケージの内容はシンプルそのもの。本体、ACアダプター、USBケーブル、イヤーホーン、簡易マニュアル(英文)という構成。まさに町工場の手作り製品という感じだ。日本人の感覚からすれば、たとえ手作り製品であってももう少し飾り気をつけたくなるもんだが、そんなものは微塵もない。「物さえ使えれば、それで十分でしょう」という感じで、そうかこれが中華Padという物なんだなぁとちょっと感動してしまった。

第一印象だけど、本体の造りは意外にしっかりしている。中華Padは造りが雑だとか十分な性能が出ないとかとかく悪い情報が多いので、まったく期待していなかったんだけど、そこそこちゃんとした造りだ(良い意味で期待外れ)。細かくチェックすれば雑な所は見つかるけど、使い物にならなさそうという感じではない。本格的に使い始めれば色々と欠点が見つかるかもしれないが・・・。中華Padでは、無線LANの受信感度が悪くてなかなか繋がらないという不具合が一番多いらしい。はたしてこのMiniPadはどうなんだろう。さすがにまったく繋がらないというほど酷くはないじゃないかと想像しているんだけど・・・。

ちなみに、このMiniPadはあくまでAndroidの開発用ターゲットとして使うつもりで、実用機として使うつもりはない。ターゲット機としてちゃんと動いてくれさえすればそれで十分だと思っている。開発用ではない常用のタブレットとしては、Lenovo、ASUS、Acerあたりのメーカー製の製品を別に買うつもりでいる。

少しだけ経済的な余裕ができたので、これから毎月1〜2台程度のAndroidタブレットを買っていこうと思っている。さすがに、これ以上Androidの発展と進化を手をこまねいて眺めている訳にはいかないからだ。最低でも、実用的なAndroidアプリを開発できる程度にはなりたい。本当にやりたいのはカスタムファームウェアやAndroid NDK用ソフトの開発なんだけど、この辺りは奥が深いので少しずつ攻めていくしかないだろう。このMiniPadの入手が、Android研究の本格的なスタートになれば良いなぁと思っている。というか、絶対にそうしなければダメだと自分に強く言い聞かせている。
posted by Yasuo Tomita at 15:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 組み込み−Android

2012年01月13日

若者の生活スタイルとエネルギー問題

新年を迎えて、希望を持って意欲的に仕事や個人研究などに取り組んでいかないといけないのだけど、最近はなかなか気持ちが前向きになれずに困っている。去年の12月中頃にひいた風邪がなかなか治らなくて、いまだに咳が続いているからだ。体調が悪くて毎日身体のだるさを感じながら生活していることがいけないんだと思う。じつは、この体調の悪さの原因になっているものはっきりと判っている。それは、いま東京で滞在しているゲストハウスの暖房環境だ。このゲストハウスの暖房装置はエアコンのみで、その暖気を換気扇によって各部屋に引き込む形になっているんだけど、この暖房環境に身体が適応できないことが体調の悪さの原因なのは間違いない。

エアコン暖房はやたらと部屋が乾燥するくせに気温はそれ程上がらない。良くエアコンが作り出す人工的な冷気や暖気は身体に良くないと言われるが、まさにそのとおりで、ゲストハウスの部屋の中に居るとすごく身体がだるくなる。特に就寝中がその傾向が顕著に現れて、夜中に何度も目が覚めてしまい、なかなか熟睡することができない。ゲストハウス内のこのエアコン暖房にほとほと困り果てている。

私がこんなに困っているのに、ゲストハウスに住んでいる他の若い住人にこの事を訴えてもどうも彼らにはそれが理解できないようなのだ。彼らはエアコンのみの暖房環境にそれ程問題を感じていないらしい。40歳台以上の人はエアコンが苦手な人が大多数だと思うが、どうも35歳位以下の若者はこの環境に特に問題を感じることなく平気で生活ができる人が多いらしいのだ。これを知ったときは愕然としてしまった。なぜ世代によってこんな差ができてしまったのかすごく不思議だったからだが、若い人の生活スタイルを観察していて、その理由が段々と判ってきた。彼らは自分の部屋に専用のエアコンがある住環境で育ち、そのエアコンによる冷暖房環境の中でずっと生活してきたからだろう。彼らの生活スタイルを観ていると、エアコンの温度を夏は24℃以下に、冬は30℃以上に設定し、部屋に居いる間はずっとエアコンをつけっぱなしにしているようなのだ。そして部屋内での服装といえば、夏はサマーセーターみたいな厚着して、冬はTシャツ一枚の薄着で過ごしている(体感温度に敏感でない者は部屋の中では一年中Tシャツで過ごしている者もいるらしい)。つまり、常に室温が23〜28℃の範囲になるように調整して、その環境の中で一年中生活している訳だ。さらに、部屋を留守にしている間もエアコンをつけっぱなしにしている若者がかなりの数いることを知って、これには心底驚いてしまった。その理由を聞くと、部屋に戻ったときにすぐに快適な環境が得られるからだそうだ。一秒でも早く快適な環境に入れるなら、留守中のエアコン運転にかかる電気代をもったいないと思わないらしい。

ゲストハウスに住んでいる若い住人の生活スタイルの中でもう一つ驚いたことがある。それは、彼らが毎朝シャワーを浴びることだ。時間的な余裕がないときはさすがに浴びないようだが、少しでも余裕があればほぼ毎日これを続けている。若い女性は朝シャワーを習慣にしている人が多いらしいが、若い男性にとってもこれが当然の身だしなみなんだろうか。夏は良いが冬は辛くないのかと質問すると、部屋のエアコンをつけっぱなしにして室温を25℃以上にしているので、すぐに部屋に戻れば冬でもそれほど辛くないという答えが返ってくる。しかし、外気温に対する身体の順応力には限界があるので、冬の間中ずっと軽い風邪を引いた状態で過ごしている若者がかなりの数いるらしい。これは若いからできる事であって、さすがに40歳以上になると続けるのはきついんじゃないかいう気がするが、はたしてどうなんだろう。

我々の世代は電気、ガス、水道などの資源を必要以上に浪費することに根本的な抵抗感があるんだけど、多くの若者はこのような抵抗感をそれ程持っていないらしい。上記のような便利な生活は電気やガスのおかげで、オール電化住宅が成り立つのもそうだけど、若者は電気、ガス、水道を湯水のように使うことにまったくといって良いほど抵抗感を持っていないみたいだ。こんな生活をしている彼らは一体いくら位水道光熱費を払っているのかすごく興味がある。いくらエコ家電が増えたといっても、こんな生活を続けていたら毎月相当高い水道光熱費がかかるはずだが、快適な生活環境を得ることを何よりも優先すべきことだと思っている彼らにとって、それはもったいないと感じるようなコストではないのかもしれない。あくまで想像だけど、一人暮らしの若者の水道光熱費は月3万円、若い夫婦は月4万円、子供のいる世帯は月5万円を軽く超えているじゃないだろうか。ちゃんとした統計を取れば、きっと若い世代のエネルギー使用量は他の世代よりかなり高いというデータが得られるはずだ。

折しも、福島第一原発の事故をきっかけに原子力発電を続けることの是非が社会問題として大きく取り上げられている。また、昨年の夏は大口需要家に対する電力使用制限令が発動され、企業だけでなく一般家庭にも省電力の動きが広まった。しかし、いままさに「原発を続けることに賛成ですか反対ですか。建前ではなく本音で答えてください」という質問をすべての世代にしたら、きっと若い世代ほど「賛成」と答える比率が高いという結果が得られるんじゃないだろうか。彼らは自分たちが毎日送っている快適な生活スタイルが主に電力に支えられていて、その総発電量のかなりの割合が原発によって作り出されていることを良く知っているからだ。いまの若者は世間体を気にする人が多いので、「本音で答えてください」と言っても本当に本音で答える人は少ないと思うが、この質問に対する彼らの本音がちゃんと数字に出るなら、きっとこの結果になるはずだ。また、若者に「去年の夏省電力のために何かやりましたか」と質問すれば、きっと「何もやらなかった」あるいは「エアコンの設定温度を1℃だけ上げた」とかいうような答えが返ってくるんじゃないかという気もする。若い世代ほど省エネやエコに無関心な人が多いように思えるからだ。

じつは、この記事を書くべきかかなり悩んだ。この記事を読んだ若者が「何言ってやがんだ。このオジンが。いまの便利な社会を築いたのはお前らの世代じゃないか。俺達はただそれを享受しているだけなんだよ」と反発する姿が目に浮かんだからだ。これを言われたら反論の余地はほとんどないし、我々の世代にもこの便利で快適な社会に疑問を感じることなく、享受しながら生活している者が多いのは確かだ。しかし、潤沢なエネルギー供給に支えられたこの社会はいつまでも続くんだろうか。

2003年から2008年にかけての原油価格高騰で、ガソリンは約1.5倍に、灯油は約2倍に値段が上昇したことはまだ記憶に新しい出来事だ。移動手段に車を使うことを避ける人が増え、流通コストの上昇により食品の値段も値上がりした。2009年になってやっと急落したが、その後また原油価格はじわじわと上昇を続けており、いままた2008年の水準に近づきつつある。現在は円高の影響でそれ程ガソリンや灯油の値段に反映されていないが、少しでも円安に振れれば、これらの値段は一気に上昇するはずだ。また、地震による原子力発電所の停止の影響で火力発電への依存度が高まった東京電力によって、原油高によるコスト高が燃料費調整制度の上限を超える見通しとなり、「本格改定」による大幅値上げを行う可能性が示されている。原油だけでなく天然ガスの値段も高騰を続けており、ほぼすべてのエネルギー資源を輸入に頼っている日本にとって暗雲が垂れ込めた状況になっている。このように電気やガスの値段はこれから上昇することが確実視されている。いまは収入に占める水道光熱熱費の割合が10〜15%位で済んでいるが、今後これが20〜30%位まで上昇するだろう。それでも、若者にとって快適な生活環境は何者にも代えがたい優先度の高いものなので、どんなに水道光熱熱費が高くなっても節約など考えずにひたすらそれを払い続けるのだろう。いまの生活スタイルを続ければ続けるほど家計のやりくりが大変になっていくは解っていてもそれを止められない。それほどいまの若者は快適な生活空間に慣れすぎてしまっている。言い換えると、若い世代のエネルギー消費量は他の世代よりかなり高い。このことに気づいていない若者が多いようだが、これから電気やガスの値段が上がれば、彼/彼女らは嫌でもその事を思い知ることになるだろう。

【追記】

上の記事に関連する話題だけど、私は、スーパーやコンビニでマイバッグを使っている若者をほとんど見たことがない。私は自炊をしているのでほぼ毎日スーパーへ行くが、いままでにマイバッグを持参している若者を見かけた回数は両手で数えるくらいしかない。DIYショップなどで10cm四方位に折りたためるバッグが500円位で買えるし、これをカバンやハンドバッグに入れておけば手荷物の負担はほとんどない。ほんの少しの準備と手間でスーパーやコンビニのポリ袋が不要になるのに、若者はこの程度の節約さえ行動に移そうとしない。

上の記事の中に書いた「若い世代のエネルギー使用量は他の世代よりかなり高い」や「若い世代ほど省エネやエコに無関心な人が多い」という指摘について私は確信に近い気持ちを抱いている。地球温暖化の危機、省エネやエコ意識の必要性について情報やニュースを日常的に目にしているはずなのに、なぜ若者はこれらに無関心なのかすごく不思議でならない。自分達の生活スタイルがいかに資源の無駄使いになっているか、若者はもっと自覚するべきだと思う。これからの時代を担っていく若者がこんなにも省エネやエコに無関心だと一体将来の社会はどうなってしまうのか不安になってくる。世界中のエネルギー資源は有限でありいまこの瞬間も枯渇に向かってつき進んでいるし、地球温暖化はいずれ日本にも深刻な問題をもたらすだろう。若者にとっても、これは近い将来必ず自分達に跳ね返ってくる問題なのだ(今回の原発事故と電力危機の後でさえ生活スタイルを変えた若者はほとんどいないようなので、彼/彼女らには何も言っても無駄なのかもしれないが・・・)。
posted by Yasuo Tomita at 16:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月05日

今年の展望とか抱負とか

皆様あけましておめでとうこざいます。今年もよろしくお願いします。

いきなり私事ですが、じつは正月早々1/1〜3までカゼひいて寝込んでいました。いまも咳が続いて熱もあり体調が良くない状態が続いています。こんな状態のときに記事を書くまとまりのない内容になりそうだけど、タイミングを逸すると書き損ないそうなので、年始の最初の記事の恒例とも言える、前年の総括、新年の展望、そして私自身の抱負とかを書くいておきたい。

去年は東日本大震災と福島第一原発事故があって、そのことがIT業界にも暗い陰を落とし続けた一年だった。さらに、いまも続く円高により日本の製造業こそがまさにメルトダウン寸前という危機的な状況に陥っている。それでも製造業の現場では必死に回復を図ろうと日々仕事を続けている人々がたくさんいるし、大震災で被災した半導体企業の復興には企業の枠を越えてお互い協力する姿があったこともニュースで知っている。しかし、この人々の頑張りはいつか報われる日が来るのだろうか。残念ながら、私はその希望がなかなか持てないでいる。歴史書を読むと、ある国が完全な衰退期に入ると、ほんの10年以内の間に立て続けに悪い出来事が続いて一気にその国の既存の体制が崩れていく例が多い。やがて、その国は旧体制が崩壊して革命が起きたり、独裁者が登場したり、戦争へ突入していくというパターンが多く見られる。私は日本の2012年が明るい年になることを心から願っているが、これから数年以内に大震災と同クラスかあるいはそれ以上の悪い出来事が日本に訪れるんじゃないかという予感がしてならない。じつは、それが何なのかある程度の予想はついているんだけど、新年早々そんな暗い内容の記事は書きたくないので、それについてはまた別の記事で書こうと思っている。

さて、IT業界に話を戻して、去年流行ったもの上げるとすれば、やはりスマートフォンとダフレットを取り上げざるを得ないだろう。スマートフォンに関して言えば、次世代の移動体通信規格であるLTE(Long Term Evolution)が組み込まれた機種の登場や、秋から今年終わりにかけて一気に各社から多く新機種が発売され、iPhone 4Sの登場と合わせて、スマートフォン全体が時代が完全に一段階進んだ感じが強い。一方、iPadが切り開いたダフレット市場も、去年の前半にAndroid搭載の機種が各社から一斉に発売されて、こちらも完全にブレーク期を迎えたように観える。東京に滞在していると、電車の社内やカフェなとでスマートフォンやダフレットを操作している人を見かけるのはいまではごくありふれた普通の風景になりつつある。MID(Mobole Internet Device)としての主役の座はもはや完全にノートPCからスマートフォンとダフレットへ移ったと言って良いだろう。株式市場の動きもこの流れを反映して、携帯関連のハードやソフトを開発している会社は軒並み高値更新を続けている。「横浜ベイスターズ」がTBSホールディングスからモバゲーIT企業のディー・エヌ・エー(DeNA)に譲渡されたというニュースで、「へぇー、こんな会社が在るのか」思った人も多いじゃないだろうか。このニュースは、もはやメディアの主役の座も新聞やテレビなどからインターネットへ移りつつあるということを象徴している。

もう一つ去年流行ったものをあげるとすれば、やはり電子書籍だろうか。スマートフォンとダフレット向けの電子書籍販売サイトが急増して、この2種類のデバイスの新たなユーザー層の獲得に大いに貢献している。いままで過去の記事でもスマートフォンもタブレットについて色々書いてきたが、じつは、私はこのどちらも機種もまだ一台も所有していない。所有するという点では、スマートフォンにはまったく興味を感じないが、ダフレットはぜひ買いたいなぁと思って検討しているんだけど、どの機種を買うべきかなかなか決められないでいる。ダフレットを買いたい最大の理由はやはりダフレットで電子書籍を読むということを日常的な行為してぜひやっていみたいからだ。また、自前の蔵書をスキャナでPDFファイル化して、タブレットなどに保存して読むいうことも大分普通のことになってきたようだ。本の断裁やスキャナの時間貸しなどを生業とする「自炊」の店も東京では結構あちらこちらで見かけることがこの事とリンクしているように思えるからだ。「自炊代行」の方は、著作権の関係で大手出版社と裁判になっているようだが、いずれにしても電子書籍に対するこのユーザーニーズの高まりは、今後出版業界だけでなくIT業界でも何か大きな動きに発展するんじゃないかという予感がする。

さて、それでは話題を変えて、今年流行るあるいはブレークしそうな技術について予想してみよう。スマートフォンとダフレットなどのMIDは今後も止まることを知らず進歩するだろうけど、その利用方法にも大きなへ変化が訪れるだろう。いまは情報サイトを閲覧したり、SNSサービスを利用したり、音楽や動画配信サイトを楽しむくらいがその種類だが、新たにMID同士を直接結びつけるようなサービスが登場するんじゃないかという気がする。例えば、特定の電話番号のMIDの位置情報を別のMIDでトレースするようなのサービスが考えられる。個人情報保護の問題があるので、簡単にこんなサービスが利用できてしまうのはまずいが、例えば、一方のMIDからもう片方のMIDに位置情報送信の認証要請を送信して、もしこの認証がそのMIDのユーザーによって受理されたら、相手のMIDの位置情報をGoogle Mapで表示できたり、主要な場所に着く度にメールで通知するみたいサービスだ。個人情報保護の観点から、位置情報送信の認証は一回毎や2つのMIDが特定の距離まで近づいた時点で自動的に解除されるような仕組みが必要になるだろうが、こういう特定のMIDの位置情報を送信するようなサービスへの需要はあるんじゃないだろうか。2007年以降の携帯電話にはすべてGPS機能が搭載されているらしいので、既存の機能を上手に組み合わせるだけでも上記のようなサービスを実現できそうだが、MID同士による位置情報送受信の認証とか、自動解除の仕組みを組み込むとか、ここら辺になるとスマートフォン自体のさらなる進歩が必要だと思われる。

他に流行るものというか、もしかするとブレークするかもしれないの技術分野は音声認識じゃないかという予感がある。iPhone 4Sに組み込まれた音声認識機能「Siri」が先鞭をつけ、またもAppleがこの技術の先駆者的な立場にいるが、残念ながら、この「Siri」が対応している言語は英語、フランス語、ドイツ語のみで日本語にはまだ対応していない。しかし、日本におけるiPhoneの人気とシェアの高さを良く知っているAppleがこの状態をいつまでも放っておくとは考えに難い。きっと、いままさにApple社のどこかの部署がこの「Siri」を日本語に対応させようと必死になって開発作業をやっているはずだ。最初に登場する日本語対応版「Siri」は一定の言い回ししか認識しないとかいうような制限がつくかもしれないが、それでも実現できればそれは大きな進歩だし、この機能をぜひ使ってみたい思うユーザーきっと多いことだろう。そして、このiPhone 4Sの「Siri」を観て、Android用の音声認識機能を本気で開発している他の会社があるはずだ。あくまで非公式のインサイダー情報だが、こちらに記載された情報によるとGoogleが自らAndroid用の音声認識機能「Majel」というもの開発中らしい。そして、「Siri」や「Majel」に対抗するような音声認識機能を開発している企業もきっと世界のどこかにあるはずだ。「Siri」は音声認識のほとんどの処理をサーバー側で実現しているらしいが、MID側だけで音声認識機能を実現しようとIPやソフトを開発中の企業もあるだろう。こういう風に、実験レベルに留まっていた技術が製品に組み込まれて世の中に使われ始め、その有効性が証明されると、他の企業が競うようにその技術をさらに進化させることはIT業界では良くあることだ。音声認識はいままさにこのアクセルがかかった状態のホットな技術分野になっているので、今年から来年にかけてきっと大きなブレークが訪れるだろう。

最後に、私自身の今年の抱負を書いておく。去年は仕事環境(個人事業から派遣社員へ)が変わって、それに対応した生活を構築するので精一杯の一年だった。この歳になって、またサラリーマン的な生活をすることになるとは思っていなかったが、大不況時代とも呼ばれるいまのご時世を生き残っていくにはこれしか選択肢がなかった。それでも、一年間コンスタントに派遣の仕事が続いただけ恵まれていたと思うべきだろう。私と同じような立場のベテランエンジニアは結構多いんじゃないかという気がする。

派遣の仕事を続けながらでも個人的な研究開発テーマをやろうと決心していたが、なかなかまとまった時間が取れず、大きくて深いテーマに取り組んむのはやはり難しいことが判った。いまは短時間で成果の得られるテーマでないと続けるのは無理だという結論に至っている。組込み系プログラム(特にデバイスを直接制御するもの)は小さなものでも集中力が必要ですごく時間がかかるので、もうこの辺りのテーマに取り組むのは諦めている。以前の記事に書いたように、評価ボードやJTAGデバッガをPCと一緒に持ち歩くのは無理だという理由の方が大きいが・・・。ただし、Cortex-M4にはすごく興味があるので、Cortex-M4コアCPUを搭載した評価ボードを一枚だけ買おうかと思っている。Cortex-M4で私がやりたいことは音声や動画コーデックなどの開発で、RTOSや通信ミドルウェアの移植にはまったく興味がない。これらはオープンソースのものを使えば良いし、それで十分じゃないかという気がするからだ。

手軽に始められるという点では、PCのみで開発環境が構築できるJavaScriptやPHPによるWebサービス・プログラミングみたいなものが適していることは判っているが、この辺りはやっているプログラマが多いので、何か他のテーマはないか模索している。やはり旧組込みプログラマとしては、できたら何かデバイスを制御したり動かすようなことがやりたいという気持ちをどうしても捨てきれない。あるいは、プログラムによって何かが動いているように見えるものでも良い・・・。いま頭の中に浮かんでいるテーマを列記すると以下のものがある。

 ・OpenGLによる3D CG
 ・ARToolkitによる拡張仮想現実
 ・OpenCVによる画像認識
 ・Kinectを使った何か

この中で一番ホットなのは多分Kinectだろう、デバイス自体も一万円強で購入できるし、世界中の多くのハッカー達がKinectハックに取り組んでいる。ググると膨大な数のページがヒットするし、YouTubeやニコニコ動画でもたくさんの関連動画が投稿されている。

Kinectは元々Microsoft製のゲーム機Xbox360専用の周辺デバイスとして発売されたが、そのユニークな機能に注目した多くのハッカー達がWindows、Linux、Macintosh用のドライバやSDKの開発に取り組み、いくつかの成果が生まれている。Microsoftは当初KinectのXbox360以外での利用に否定的な立場だったが、KinectのUSB接続の通信データが暗号化されていないことを認め、さらには、2011年4月には公式にWindows向けのSDKを公開することを発表し、同年6月16日に「Kinect for Windows SDK」のベータ版を公開した。本ブログで何回が取り上げているMikuMikuDanceもこのKinectに対応していて、Kinectを使って自らの動きをモーションキャプチャして初音ミクにまったく同じ動きをさせたり、ヘッドマウントディスプレイと組み合わせ、ミクの姿でCGの世界に入り込んだようなバーチャルリアリティを再現したりといった試みの動画がニコニコ動画などに投稿されている。Kinectならきっと楽しさとワクワク感を堪能できるだろう。

うーん、これを書いているうちに、だんだんとKinectがやりたくなってきた。すぐにでもKinectを買ってしまおうか。それからどんなプログラムを創るか悩めば良いし、プログラムを書かない限りPCでKinectを動かすことはできない訳で、これは相当強いモチベーションになるはずだ。最初にKinectからデータが取り込めてそれを3Dデータとして表示できたときは感動するんじゃないだろうか。YouTubeやニコ動のKinect動画を視れば、きっと「これと同じことをやってみたい。どうやるんだろう」と考えるだろうから、それでもっと詳しく調べながらプログラムを創り、さらに発展させていくというモチベーションの持続ループが生まれそうな気がする。

上のいずれの研究テーマに取り組むにしてもPC側の画像出力に結構CPUパワーが要るので、やはりグラフィック機能が高スペックなノートPCが欲しくなる。ストレスを感じないですむ環境として、最低限Standy Bridge世代Intel i5かi7、あるいは独立GPUを搭載したノートPCが必要だろう。このクラスのノートPCを購入することも一緒に検討しなければならない。本業の仕事の方はしばらくは忙しくなさそうなので、そのうち、上のどれかのテーマの中から「○○○を始めた」いう記事でもアップすることになりそうだ。
posted by Yasuo Tomita at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2011年12月31日

『世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ』を視た

今日テレビで、NHKスペシャル『世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ』の再放送を視た。じつは、私はこの番組の放送予定をまったく知らなかったんだけど、偶然12/23の本放送も視てしまった。普段はまったくテレビを視ないのに、滞在しているゲストハウスのリビングのテレビをつけたら、偶然この番組の放送開始時刻で、ジョブズに強い思い入れを持っている私は引き込まれるよう視てしまった。これも何かの巡り合わせなんだろうか。本放送を視たときに感想を書きそびれていたので、今年の締めの記事として、改めてこの番組の感想を書きたい。

番組はスティーブ・ジョブズが学生時代を過ごした1960年代のアメリカで流行していたカウンターカルチャー(別称「ヒッピーカルチャー」)と、その最盛期に刊行された伝説の雑誌「Whole Earth Catalog」の紹介から始まる。この雑誌の最終号の裏表紙に記載されていたのが、ジョブズがスタンフォード大学でのスピーチで言い放った、あの有名な"Stay hungry. Stay foolish." だ。そして、この言葉をキーワードとして、「改革者」になることを強く願ったジョブズの想いと人生が綴られていく。

番組の前半で紹介されていた、ジョブズの学生時代、Apple Computerの起業とApple IIによる成功、Macintoshの開発と挫折、そして、Appleを辞めた後のNeXT社の設立へと続く流れは、ジョブズとほぼ同時代にIT分野で仕事をし、8ビットマイコンから始まるPCが日本国内で普及する様を自分の眼で観てきた私にとってすべて良く知っている内容だった。あの頃にIT業界に携わって者はジョブズやApple社の動向をウォッチしていた者が多かったし、まして、私はMacintoshのソフト開発に約8年間深く係わっていたことがある。じつは、Apple Japanが行ったいくつかのソフトウェアの日本語ローカライズに協力したこともあり、一時期は完全に仕事全体がMacintoshソフトの開発になっていた。最初期のPowerPC版Macintoshが発売されるまでのいまや昔の話だが、DTP(Desktop Publishing)での版下作成ではかなりMacintoshが普及していて、またグラフィックデザイナーもMacintoshを愛用している人が多かった。

番組の中では言及されていなかったが、PCとしては失敗作のように紹介されていたNeXTに搭載されていたNeXTStepがいまのiOSの基礎になっているOSである。ジョブズのこだわりの結晶であるNeXTStepの先進性がiOSへと受け継がれているからこそ、いまのiPhoneやiPadのユーザーフレンドリーな操作性が存在しているとも言える訳で、NeXTが無ければiPhoneやiPadも生まれていないかもしれない。

番組の後半で紹介されていた、ジョブズのApple社への復帰、iMacの発売から始まるWindowsへの攻勢、さらに、iPodとiPhoneへと続く流れは噂やニュース位でしか知らなかったので、私にとっては新鮮な内容だった。特に意外だったのは、ジョブズが家族をすごく大切に想っており、その想いがApple社の製品群にも反映されていたという点だ。この時期、私はすでにMacitoshソフトの開発から離れていたが、iMacの発売はすごく印象的だった記憶がある。あの斬新なカラーリングは本格的にPCが家庭へ普及していくきっかけだった気がする。それまでのPCはあくまで仕事の道具であり、家庭内で女性や子供に使われることはほとんどなかった。iMacが本格的なホームコンピューティングの世界を切り拓いた最初の製品であると言える。また、「デジタルハブ」というキーワードと概念も斬新に感じた。私はつい最近までこの言葉の存在さえ知らずにいた。この「デジタルハブ」という概念を知って、初めてiPodやiPhoneへの流れが私の中でしっくりと収まった。いまのApple社が目指しているのは、単なるデバイスを造ることではなく人々にコンテンツを提供する仕組みを創ることなんだということがやっと理解できた。iPodやiPhoneはその一つの形態でしかない。一般のユーザーにとって重要なのはデバイス自体ではなく、それによってどういうコンテンツが入手できるかである。ユーザー・ニーズにマッチした製品開発が重要だと言いながら、多く日本のメーカーは実際には社内の都合を優先した製品開発しかできていない。Apple社が自社製品の優位性をアピールする際に「ユーザーエクスペリエンス」というキーワードを多用するが、これの本当の意味が理解できている日本企業がどれくらいあるだろうか。この番組を視て、私はやっとこのキーワードが本当に理解できた気がする。

番組の中でもう一つ印象的だった事がある。それは、ジョブズが、テクノロジーとクリエイティブな分野を結びつけたことを誇りに思っていたという点だ。私はテクノロジーとクリエイティビティは決して相反する概念ではない気がずっとしていたが、本当の天才はこの両方の資質を備えているだということに確信が持てた。世の中に変化をもたらす程の製品を創るつもりなら、この両方を本気やらないダメなんだと思う。日本のエンジニアが良く口にする「特定に技術分野だけ極められればそれで満足だ」というのは一種の自己欺瞞ではないかと思えてならない。iPhoneやAndroidアプリではUI設計が重要な開発要素になっており、UIのデザインには当然クリエイティブなセンスが要求される。結局人間が使うデバイスはどんなものでも必ずUIを搭載しなけばならない訳で、ユーザーフレンドリーなUIを設計するためのクリエイティビティは現代のエンジニアには必須のセンスになりつつある。すでにいくつかの大学や専門学校ではこの点を重視したカリキュラムに変えている所もある。iPhoneやAndroidのようなリッチデバイスが普及すればする程、クリエイティブなセンスも兼ね備えたエンジニアが益々求められていく。話を私自身の事に戻すと、やはり一度はクリエイティブな分野に本気で取り組まないと未来が切り拓けない気がしている。

私にとって今年はずっと悩み続けた年にだった。いまは経済的な回復を最優先事項としているので派遣の仕事を続けているが、研究開発のテーマについては、やりたいこととやれることの切り分けがなかなかできない苦しい一年だった。いまだに決められない部分も多いが、やっと最近になって方向性が少し観えてきた気がする。年末年始で長い休みが取れるので、できたらここでこれからの方向性をはっきりと決められたらと考えている。
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2011年12月29日

今年最後のカンブリア宮殿を視て

普段はまったくテレビを視ないだけど、ときどき気になってチェックしている番組にテレビ東京の『カンブリア宮殿』というのがある。積極的に視ているわけではなく、たまたまテレビを視れる環境に居て、次回予告の内容が気になったときくらしか視ていないが。今回は後者のケースで、今年最後の「カンブリア宮殿」の放送を視た。番組のサブタイトルは『村上龍が選ぶ『今後のニッポンを考えるニュース』!』で、大した内容ではなくむしろ期待外れと言える内容だった。じつは、この番組をあえて視ようと思ったのは旧ソニーCEOの出井伸之氏がゲスト出演者だったからで、出井氏がどういうことを喋るのか気になったからだ。

それでも、出井氏が述べていた内容でいくつか印象に残った事があった。一つは、「メルセデス・ベンツは一番安い車は300万台で同じ車体で1000万まで造っている。一方、日本のテレビはあんなに安なってしまった。インドみたいにボトムピラミッドもなけば、トップエンドの製品もない。中級品ばかりを造る会社というか、日本はいらないものをたくさん造る国になってしまったんじゃないかという気がするですよ」という指摘だ。本ブログの過去の記事でも、私もこの点を何回も指摘しているが、ソニーという大企業のトップだった出井氏もやはりそう感じているのかと思った。

身近な例をあげると、私が一番良く購入を検討するデジタル機器はノートPCだけど、量販店のノートPCのコーナーに行くと、ソニー、パナソニック、東芝、富士通、NECなどの日本メーカーの製品に多くの展示スペースが割かれている。在庫数や販売利益の高さからこういうスペース割りになっているのだと思うが、しかし、これらのメーカーのノートPCを実際に触ってみると、何だかどれもデザインや操作性が似た感じで、「コレなら欲しい」いう機種が見つからない(デザインという点だけ言うと、ソニーとパナソニックの製品は他のメーカーとの差別化を感じるが、残念ながら、どちらのデザインも私の好みから完全に外れている)。個人的な好みの問題かもしれないが、日本メーカーの製品には「こだわり」みたいものがほとんど感じられないからだ。一方、展示スペースは小さいが、LenovoやHPのノートPCをを触るとこれなら買ってもいいなぁと思わされる何かが備わっていることを感じる。日本メーカーとこの2つのメーカーの製品の差がどこにあるかいうと、全体の造りがしっかりしている点とキーボードがとても打ち易い点だ。Lenovoは旧IBMのPC事業部だしHPも旧Compaqを吸収して続いているメーカーであり、どちらも古くからPCを製造販売しているからか、この2つのメーカーの製品はどれもこの2つの点が共通した特長になっている。ノートPCにとってこの2つ点は他の機能よりずっと優先度が高いと思うんだけど、日本メーカーはこれを忘れてしまっているじゃないだろうか。ベテランのITエンジニアほど私のこの意見に賛同する人が多いはずだ。日本メーカーのノートPCは、「開発費、部品代、製造コストから総合的にまとめ上げたらこういう形になりました」いう感じの製品ばかりのような気がする。ユーザーが製品を選択する基準軸として「人と違ったものを所有たい」いうのがあると思うが、日本メーカーの製品にはこの価値感を満たしてくれる物が極端に少ない。

もう一つ印象に残ったのは、「ものづくり日本の崩壊」というテーマに関連して、ボードテロップで示されていた「ものづくり」という単語の使用記事数の年別推移。「ものづくり」という単語が多く使われるようになったのは、ものづくり大学とが出来た頃の、すでに製造業の衰退が叫ばれ始めた2000年位からだという指摘だ。それ以前は、こんな仰々しい表現が使われることはめったになく、皆普通に現場で創意工夫を重ねながら仕事をやっていた。過去の記事でもこの「ものづくり」という単語の胡散臭さについて指摘しているが、「ものづくり」は日本製造業の衰退そのものを象徴している言葉ということになる。これについて、あえて強い表現で言い換えると、「ものづくり」という言葉を多用することは「負け犬の遠吠え」に等しいということをもっと多くの人が自覚すべきだと思う。便利だからといってこの言葉を使っていると、それこそ本当に負け犬根性が身の染みついてしまう危険性がある。絶対に使うなとまでは言わないが、「ものづくり」はこういうバックグラウンドを持つ言葉であることをちゃんと考えて使うべきだ。多くのベンチゅー支援施設などがその設立目的として「ものづくり」企業の支援を上げているが、そのこと自体が創意工夫を欠いているとは思わないのだろうか。「ものづくり」などいう大雑把な括りではなく、もっと具体的にインターネット、コンテンツ、セキュリティ、アニメ、CGみないなジャンルを決めて支援対象分野を明確化した方が余程その施設の特徴を打ち出せると思うのだが、そういう所は非常に少ない。ちなみに、「組込み」は単なるシステム実装形態を表す用語であって(特に応用分野という意味では)ITジャンルという定義づけにあたらないと私は思っている。

なお、この番組の中には「スティーブ・ジョブスの功績」というテーマでの対話もあって、そのテーマの中で出井氏が「本当の話、ソニーがApple的な事が出来なかったことには僕はすごく悔しくですよ」というシーンは予告編のカットにも使われていたが、これは私にとっては意外でも驚きでもない。出井氏程の先見性を持った経営者なら当然こういう想いは持っていたはずだと思っていたからだ。逆に言えば、スティーブ・ジョブスとApple社の業績について正当な評価ができないようなら大した経営者ではない言った方が良いだろうか。このテーマのまとめ兼反省の弁として、出井氏が「インターネットが昔落ちてきた隕石みたいに世の中を壊すと何遍もソニーの人にも言っていてんだけど、そのインターネットが主役で、そうなったときに、いままでの我々の造っていた社会の価値観念を壊してでもそっちの方へ行くべきだ。そういうことに腹が据わっていなかった」「いまの日本の社会そのものがネットの重要性というものについてまったく気がついていない。あるいは、腹が据わっていない」が言っていたシーンがこの番組全体の中で一番印象残ったシーンだった。本気でこれを言えるのはソニーを辞めた立場だからからではないかとも思えるが、リアル世界の最たる行為である大企業の経営に携わっていた人が、バーチャル世界であるインターネットの重要性をこれ程認めていることはすごく意外だった。個人から企業レベルまで生活、趣味、仕事そして製品開発などに関わるすべての行為をインターネットを中心に据えた形に変えるべきときが来ているのかもしれない。この変化に対応できないエンジニアや企業はやがて社会から必要とされず、少なくともメインストリームからは消えていかざるをえない運命が訪れると覚悟を決めべきなのだろう。

【追記】

いままで知らなかったんだが、こちらのサイトでカンブリア宮殿の過去の放送番組の動画配信を視ることができるみたいだ。それも、司会の村上龍(公式には「メインインタビュアー」扱いらしい)とゲスト出演者の会話がカットされていないテレビ放送版と違う内容で、余計なカットイン映像もない。上で、前回の番組の感想として「大した内容ではなくむしろ期待外れ」と書いたが、これは訂正しておきたい。配信動画を視たらそこそこ興味深くて面白かった。この番組を視ることで、ものづくりの変化を中心に今年一年を振り返ることができ、私自身が目指すべき方向性も少し観えてきた気がするからだ。丁度今日(12/29)から12日間の年末年始休暇に入るので、この機会に番組の内容を咀嚼してじっくりと考えてみようと思っている。
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2011年12月10日

大崎で過ごす休日

常駐派遣の仕事で東京でサラリーマンみたいな生活をおくっているので、日々の仕事や生活に追われてなかなかブログを更新できないでいたが、やっと仕事の方が一段落して一息つける状況になったので、今日は大崎へ行って駅周辺をブラブラと歩き回ってきた。勤務先会社のオフィスが在り毎日通勤している場所なので、いままで休日に大崎へ行ったことは数回しかなかったが、改めて半日かけて散策してきた。
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毎日通っている大崎へなぜわざわざ休日に行ったのかというと、じつは、来週から勤務先会社のオフィスが品川へ移転することになったからだ。今年6月から通い続けて、やっと大崎エリアの全体像が掴めて馴染んできたところで、品川へ移ることになってとても残念な気持ちだ。前の記事で「大崎エリアはあまり好きでない」と書いたが、じつは、最近はまた段々と好きになってきつつあった。駅のすぐ近くのビルや店は結構人が多いんだけど、駅から少し離れた所は意外に人がいなくて静かに過ごせる店やフリースポットが結構在ることが判ってきたからだ。
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例えば、上の3つの写真のうち1番目は大崎ニューシティという商業ビルの裏手の目黒川の風景だけど、ここ辺りは人はそこそこ行き交っているが、のどかな感じの雰囲気も漂っていて川沿いにカフェも数店在るので、のんびりと過ごすには良い場所になっている。また、2番目と3番目の写真はアートヴィレッジ大崎というオフィスビルへ向かう歩道橋だけど、ご覧のとおり誰も人が写っていない。休日だからだけど、じつは平日でもこの辺りはあまり多くの人は行き交っていない。この歩道橋の先にはマンションが在るが、そこで行き止まりになっており、そのマンションの住民とビル内のオフィスワーカー位しかこの辺りを歩いていないからだ。このビルはまだ建ってからそれ程年数が達ておらず、入居企業もかなり少ない。この辺りは駅から徒歩3分位しか離れていないのに静かな場所になっている。じつは、この先にはテーブルと椅子が設置されたフリースポットが在って、そこは静かに過ごせる場所になっている。ただし、このフリースポットはビルの谷間に在り、夏でも肌寒いくらいの場所なので、あまり利用者はおらず人寂しい雰囲気さえ漂っている。
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上の写真は大崎駅の南口側に在るThinkParkというオフィスビルの風景だが、このビルも私のお気に入りの場所だ。まだ出来て4年位しか建っていない新しいビルで、館内のどこでも公衆無線LANが使え、あちらこちらにその事をアピールするステッカーが貼られている。ノマド・ワーカーの間では有名なビルで、駅のすぐ近くなので、ビル内のオフィスワーカーでもないのに毎日通っている人もいるようだ。私もこのビル内のファストフード店やカフェなどで、ノートPCを公衆無線LANに接続したまま1〜2時間位過ごすことが良くある。じつは、このビルの裏手にはホテル、スポーツジム、レストランが入っているビルも在り、その中のレストランではバイキング・ビュッフェ形式の朝食サービスをやっている。これは本来ホテル宿泊者向けのサービスなんだけど、外来客も利用することができるので、私も週に一回程度このサービスを利用していた。やや値段は高いが、メニュー品目が豊富で十分満足できる内容なので、早起きした朝にのんびりと過ごすには良い場所だった。

ちなみに、いままでの勤務先会社のオフィスが在ったのはゲートシティ大崎というビルで、同じ南口のThinkParkの反対側に建っている。これは大崎エリアでは比較的古いオフィスビルだが、ゲートシティ大崎ではビル内の撮影は禁止されており、何か差し障りがあるといけないので、あえてビル外観の写真も撮ってない。

来週から勤務先の場所は品川インターシティ内のオフィスビルになるが、気に入っている大崎エリアにはこれからもちょくちょく行きたいと思っている。通勤路線も目黒−品川なので、途中下車すれば気軽に行けるし、やはり大崎は休日にのんびりと過ごすには良いエリアだからだ。
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2011年11月18日

ET2011見学へ行ってきた

今日の午後に、ET2011(Embedded Technology 2011)の見学に行ってきた。本当はあまり行く気はなかったんだけど、せっかく東京に滞在してしているんだから行くだけ行ってみようかという気持ちになったので、ブログ記事のネタ探しのつもりで出かけてみた。デジカメを持っていくのを忘れたんだけど、特に撮りたいと思うような展示物も無かったので、別にデジカメは必要なかった気がした。

取りあえずの感想はと言えば、今回のET2011は低調だったなぁという印象が強かった。まったく元気がないいまの日本の製造業を象徴しているような雰囲気が漂っていた。いままで何度もESECやETの見学には行っているし、展示側の手伝いも何回かやったことがあるが、こんなに低調なのは初めて観た。私が会場に着いたのは13:30頃だけど、展示会場内は本当に見学者が少なくて、最終日の午後だというのにこの寂れた雰囲気は一体何だろうと驚いてしまった。人をかき分けて歩くような感じはまったくなく、余裕で各展示ブースを廻ることができたし、いくつかのブースは閑古鳥が鳴いて、説明員同士が世間話をしている有り様だった。閉会2時間前の15時頃になってやっと人が増えてきたのは、駆け込みで来た人がいたからだろう。初日と二日目は行っていないが、もし前の二日間も今日みたいな感じなら、今回のETの来場者数は相当少ないんじゃないだろうか。

IT関連の展示会に行くと必ず何か興味を引かれる展示物を見つけていたものだけど、今回のETは何も見つからなかった。私自身が組込み分野への興味が薄れてきているからかもしれないが、ありきたりの展示物ばかりだったような・・・。行く前から予想していたことではあるが、展示パネルなどで一番多く見かけたキーワードはやはり「Android」だった。と言うか、今回のETはAndroidしか印象に残らなかった気がする。しかし、こんな物までAndroid対応にする必要性があるんだろうかと疑問に感じた製品も結構あった。それくらいAndroidがブレークしつつあるということなんだろうけど、こんなにAndroidだらけだと逆に白けてしまった。まぁ、いまはAndroidくらいしか担げる御輿がないということなんだろうなぁ。ただ、組込み機器の端末側の役割をするプラットホームは完全にPCからスマートフォンやタブレットへ移ったということは確信した。WindowsやLinux用のアプリを作れることに代わって、これからはAndroid用のアプリを作れることがITエンジニアのスタンダード・スキルになっていくだろう。一般人がアプリを使うためのデバイスがPCからスマートフォンやタブレットへ移っているし、既存のPCメーカーさえも製品ラインナップをタブレット中心に変えつつあるのだから、この流れはもう止まらないだろう。

今回のETでもう一つ実感したことがある。それは、日本の組込み分野はもはや衰退産業になってしまったんだなぁいうこと。製造業全体が衰退産業であると広く認識されるようになって久しいが、組込み分野もじわじわと衰退に向かっていることを確信した。と言うか、日本のIT産業全体が風船から空気が抜けてしぼんでいくように縮小しつつあるような気がする。IT分野はずっと成長を続ける産業であるという認識は完全に改めるべきなのかもしれない。少なくとも、他社の製品とちょっとだけ差別化した物を造れば売れる時代はもう終わった。日本の製造業が得意なモノマネ中心のものづくりでは新興国には太刀打ちできないし、デジタル機器のライフサイクルはどんどん短くなっているので、これらの製品に占める品質の重要性はかなり低くなっている。つまり、品質重視の日本のものづくりは時代のトレンドに合わなくなっており、短期間で製品を市場へ出すという点をもっとも重視する新興国のものづくりの方が勝ってしまうことは仕方がないことなのかもしれない。

Androidの影に隠れてあまり目立たなかったが、いくつかの企業の展示物から、やはりグラフィックスやマルチメディア系のハードやソフトはこれから組込み分野でも有望なジャンルに育ちそうだという印象を持った。この流れは数年前から予想していたことではあるが、近いうちにNVIDIAからGPUを搭載した新世代の組込み向けCPUも登場しそうなので、この分野は今年から来年にかけて一気にブレークするだろう。最新のAndroidでは3D CGを多用したUIが採用されているし、高性能化が進むスマートフォンやタブレットというニーズにもマッチしている。いよいよ本格的な組込みグラフィックスの時代が到来しそうだ。この辺りの技術を追いかけるのが一番ワクワク感を感じられそうだという確信が持てたので、やはりOpenGL ESやOpenMAXを本格的に勉強しようというモチベーションが沸いてきた。これが今回のET見学で得られた唯一の収穫だった。
posted by Yasuo Tomita at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事

2011年11月02日

ゲストハウスでの出会い

東京での常駐派遣の仕事を続けているが、10/1に滞在場所を横浜・蒔田のウィークリーマンションから目黒のゲストハウスへ移動した。それから一ヶ月経ったが、やっと新しいゲストハウスでの暮らしにも慣れてきた。

ゲストハウスというのは俗称でシェアハウスという呼び方もあるそうだが、各部屋にはバス、トイレ、キッチンがなくこれらが共用設備になって物件を指す。言うなれば、現代版の寮みたいな物件で、ここ数年東京ではこういう物件が急増しているらしい。若者の収入が減少していて、短時間で通勤・通学が可能の場所に普通の物件を確保しようとすると、収入に対して家賃が高くなりすぎることが原因なのだろう。これも、東京の不動産相場が高水準のままであることが引き起こしている現象と言える。一般的にゲストハウスは若年層向けの物件であり、入居者の年齢制限を設けている所が多い。35〜40歳以上の者が入居を希望しても門前払いになるケースが多いが、たまたま年齢制限がない物件を見つけて、今回は運良く入居することができた。場所も目黒駅から徒歩6分と申し分なく、キッチン設備なども充実していて暮らし易くとても気に入っている。勤務先の大崎までドア・ツー・ドアで15分位で着けることも大きなメリットだ。

ゲストハウスでは共用設備をシェアして使うので、当然ながら他の入居者と頻繁に顔を合わせる。お互いに挨拶するし、時間があると世間話をすることも多い。目黒のゲストハウスでもいくつかの出会いがあった。年齢制限を設けていない物件だからか、入居者の職業がバラエティに富んでいて、カナダから来ている有名国立大の客員准教授、年中東南アジアの国々を飛び回っているネットワークインフラ技術者、六本木のバーで働いている飲食店員などなど。年齢制限を設けているゲストハウスに住んでいるのは、大体は学生か会社員でこれほど職種のバラエティはない。なかなかユニークなゲストハウスだ。このゲストハウスでの出会いで印象的だった話を二つ紹介しよう。

一つはビジネススクールに通っている学生の話だけど、彼は有名私大理工学部の情報関連学科を卒業した後、同じ大学が運営するビジネススクールへ進学したそうだ。大学院へ進んで修士課程を目指すことも考えたそうだが、いまの時代技術力だけで生き残っていくのは難しいので、技術力以外の他の武器を身につけたかったことがビジネススクールを選択した最大の理由だと言っていた。技術力なら企業で働きながら身につけることもできるが、経営学や金融工学はビジネススクールくらいしか学べる場所がないので、いまの学校への進学を決めたそうだ。同級生の多くは大手製造業企業へ就職したが、彼らのように将来性のない日本の製造業企業に人生を掛ける気になれなくて、いまは外資系投資会社でインターンとして働きながら、MBAを取得することを目指してビジネススクールで勉強を続けているそうだ。ビジネススクールを選択したもう一つの理由は、外資系金融企業がITエンジニアの採用に積極的で高条件で就職できる可能性が高く、日本の企業よりずっと高い年収が得られるからだとも言っていた。さらには、将来は年収から一定の割合を投資へ回したいとも言っていた。もはや日本の年金には期待できないので、株や不動産など何らかの投資をやらないと老後の貯えを確保できないと考えているそうだ。彼の話を聞いていると、時代の潮流や人生設計をしっかりと考えているんだなぁと感心してしまう。エンジニア一筋で歩んできた私と比較するとまったく違う道だけど、いまの時代はこういう道もあるのかぁと考えさせられてしまった。

もう一つは有名国立大学の医学部で客員准教授をしている年配者の話になる。この人は満州生まれでいまはカナダに在住しているそうだが、東北大震災で国立大学の医学部から医師や職員が大勢駆り出されて、学内に講師役を務める人が足りなくなってしまい、昔講師役を務めたことがあるその大学から声がかかったそうだ。震災支援のために東北へ行った後、そのまま大学に残っていまは東京で客員准教授をしているそうだ。彼は人生の大半を外国で生活してきて、アメリカで大手投資銀行に勤務していたこともあるそうだ。彼から聞いた話で一番印象的だったのはカナダの年金と福祉制度についてだ。日本とは比べものにならないくらいカナダの年金と福祉制度は充実していて、年金受給者になると医療費、交通費、食費はすべて無料になるそうだ。カナダは税金や保険料が高いことでも有名だが、この充実した福祉制度が受けられるので、カナダ国外に住んでいたときもずっと保険料を払い続けていたそうだ。一方の日本の年金制度と言えば、すでに実質的に破綻状態に陥っており、今回の制度改定で受給年齢の引き上げが実施されると、多くの人は年金保険料の払い損になるらしい。

上の二人の話を聞いて強く感じたことがある。それは、日本から脱出した者あるは日本企業を見捨てた者だけが人生の勝ち組になれるということ。年齢的に私の知人にもセミリタイアする人が出てきているけど、そのすべてが海外在住経験者か外資系企業に勤めていたことがある人ばかりだ。日本企業へ就職した者はいまだにその企業で働いているか、リストラされたり、あるいは、私のように一旦独立した後常駐派遣の仕事などをしている。そして、その多くは住宅ローンや子供の教育費の支払いに苦しめられている。結局、「日本に生まれたことが人生最大の不幸」なのかもしれない。

今回の年金制度の改定によって年金保険料の払い損になることが広く知れ渡ると、若年層はどんどん日本から脱出していくだろう。特に優秀な科学者やエンジニアは日本よりも海外の企業で働いた方が高い収入が得られるので、いままで以上に海外への流出が増えていくのは確実だ。日本で年金保険料を払うくらいなら、海外へ移住してその国で払った方がよほど優雅な老後を過ごせるからだ。私が若者なら絶対にそうするし、上で紹介したビジネススクールに通っている学生にこの話をしたら、まさにそう考えているそうだ。そのために就職先は外資系企業しか考えておらず、できるだけ早く日本から脱出して、アメリカかカナダへ移住するつもりだそうだ。

この話と少し趣旨が違うが、ググってみると、海外で年金生活をする方法を紹介したページがたくさんヒットする。日本のささやかな年金支給額で国内で暮らすと、それこそ爪に火を点すような極貧生活をしなければならない。それなら、日本よりずっと物価の安い海外で生活した方がよほど楽な生活ができる。結局、日本国内に残るのは高い物価をまったく気にしない裕福層か、あるいは海外移住の資金を捻出できない貧困層だけになってしまう訳だ。いまの日本はまさにこのとおりの姿になりつつある。
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2011年10月06日

IT界の巨星Steven Jobs氏逝く

今日は、非常に悲しい速報ニュースが全世界をかけめぐっている。

08/25の記事で、Apple社CEOの退任についてコメントを掲載したばかりなのに、そのたった一ヶ月半後にこんなニュースを眼にすることになるとは・・・。ずっとガンを患っていたようなので、もしかするという気はしていたがこんなに早く悲報が流れることになるとは思わなかった。

朝Googleニュースでこの速報を知ってから、今日はまったく仕事が手につかない。世の中の何を視ても虚しく悲しい気持ちが沸き上がってくるからだ。これからしばらくはこんな気持ちが続くじゃないかという気がする。

下のニュースにSteven JobsがApple社と共に創りだした歴史が詳しく書かれているが、自分の信念を貫くことで世界を変えた、こんな人物はこれから100年先まで現れないかもしれない。

享年56歳らしいが、少し私の方が若いだけでほぼ同世代の人物だった。その人が逝ってしまったことを知って、そろそろ私も自分の死期について考えておかないとなぁと思わされた。今年になって、私も体力の急速な衰えなど高齢期が近づきつつあることを実感する日々が続いている。10年位前からいくつかの持病に悩まれており、ずっと健康状態が良くないので、多分あと10年は生きられないだろうなぁと覚悟している。ここ数年は終の住処をどこにしようかずっと悩んでいるが、そろそろこれをちゃんと決めないといけない。どういう形で人生を閉じるか、私も真面目に考えるべき時期を迎えているのかもしれない。しばらくはこんなことを徒然と考える日々が続きそうだ。
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